松本道介

松本道介(まつもと・みちすけ、1935–2017)は、ドイツ文化史・ヨーロッパ史を専門とした独文学者。中央大学文学部で長く教鞭を執り、1976年に同大学教授となった。中央大学では文学部長も務め、のちに名誉教授。研究分野として十九世紀から二十世紀にかけてのドイツ文化史、ヨーロッパ史を掲げている。

吉田好克の論考における松本道介

吉田好克.jpでは、松本道介は小林秀雄の戦争と「反省」をめぐる発言を読み解く重要な媒介者として登場する。

「蟷螂の斧」第24回「戦争の『反省』はできない」では、小林秀雄の「僕は馬鹿だから反省なぞしない」という戦後直後の発言を取り上げたうえで、松本がそれを「この上なく当然な常識論」と評した文章を紹介している。松本は、反省とは本来、現実に存在した選択肢を前提として成立するものだと論じる。

吉田はこの松本の文章を高く評価し、同じ論点を第7回「独り善がりの宰相――石破茂」でも参照している。歴史を後世の価値観から単純に裁くのではなく、当時の人間が置かれていた条件と選択肢を考えるという吉田の歴史認識において、松本の議論は重要な位置を占めている。

研究と著作

松本の研究関心は、ドイツ文化史、ヨーロッパ史、文学と音楽の関係など多岐にわたる。中央大学人文科学研究所からは『文学と音楽』が刊行されている。

関連人物

小林秀雄 — 戦争と「反省」をめぐる発言について、松本が独自の解釈を示した文芸評論家。

福田恆存 — 戦後日本の思想・歴史認識を考えるうえで、吉田が繰り返し参照する評論家。

中村粲 — 吉田の近現代史認識と評論活動に大きな影響を与えた研究者。

吉田好克の論考で読む 松本道介

参考資料

※本ページは、一般的な人物紹介に加え、吉田好克.jp掲載論考における引用・言及関係を整理するための人物辞典です。

吉田好克

吉田好克について 吉田好克は、神道・宗教・日本思想・歴史・政治・社会について、長年にわたり研究・教育・執筆を続ける論者です。 その関心の中心にあるのは、個々の時事問題そのものではありません。 日本とは何か。 日本人はいかに生きるべきか。 歴史や伝統を、現代にどう受け継いでいくのか。 そうした根源的な問いを、宗教、思想、歴史、社会のさまざまな角度から考え続けています。 論考では、福田恆存、江藤淳をはじめとする先人の思想や、国内外の文献を幅広く参照しながら、現代社会で当然のように語られている価値観や言説を改めて問い直します。 その姿勢は、特定のイデオロギーから現実を説明するのではなく、歴史、伝統、人間の営みという現実から、思想や制度を見つめ直すことにあります。 連続論考「蟷螂の斧」では、外国人労働者問題、戦後日本とキリスト教、原爆忌と平和思想、安全保障、靖国神社、保守思想、政治家論など、現代日本が直面する問題を幅広く取り上げています。 「蟷螂の斧」という名の通り、たとえ小さな力であっても、疑問を抱いた問題には自らの言葉で向き合う。 その文章には一貫して、日本の歴史と文化を次代へどうつなぐのかという問題意識があります。 本サイト「吉田好克.jp」では、「蟷螂の斧」をはじめ、これまでに執筆された論文、評論、寄稿、講義資料などを整理し、吉田好克の知的成果をデジタルアーカイブとして公開していきます。

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