第五十回衆院選挙の結果は周知のやうに、与党の自民・公明が歴史的惨敗を喫し、その分、野党の特に立民党と国民民主党が議席数を大幅に伸ばした。一方で、日本保守党が新党ながら国政政党の仲間入りをし、参政党も三名が当選した。
しかし、投票率は全国で五十三・八五%で、戦後三番目の低さだといふ(小欄の住む県では五十%に満たなかつた)。従つて、今回の結果はとても「民意」の積極的な表れだとは言へまい。特に立民党は自惚れるべきではない。岸田内閣の二番煎じのやうな石破内閣と自民党を忌避して投票を棄権した有権者は多かつただらうし、折角の権利を無にするのは悪手と考へ、不承不承立民党に投票した選挙民も多かつたはずだ。他の新進の小政党に比べれば、結党以来七年は経つてゐるから、悪名が無名に勝つたといふことではなかつたか。
忘れた読者もゐるかも知れないが、七年前、立民党は前身の民進党時代、小池百合子人気を当て込んで全員が希望の党に入ることを両議院総会で決定したものの、小池の「排除」発言に敢へ無く腰砕けとなり、枝野幸男らが急拵へした政党である。立党の時点から無策の政党であり、今回の選挙公約も実現は不可能なことと不適切なことの羅列であつた。
こんな立民党の躍進の裏にはマスメディアの密かな企みがあつたと思はれる。争点は「政治とカネ」であると矮小化して喧伝し、左派系政党を裨益した。それに乗じた候補者の多くは「腐敗した自民党」を攻撃すれば良かつた。そして、それは分かり易い問題なので、国民の間に浸透して行つたことは否定できない。
しかし、日本が直面してゐる危急存亡の問題は別にある。高市早苗が事あるごとに言ふやうに、護るべきは「領土、領海、領空、資源、主権、名誉」である。これらが大きく毀損されてゐる現状を国民に知らせようとした候補者がどれだけゐただらうか。
然るに、石破政権の公約の第一は、「ルールを守る」である。中学校の学級会並のスローガンだ。漸く三番目に「国を守り、国民を守る」が出て来るが、さういふことは、せめて、中共が我が国のEEZ内に配備した海洋探索ブイを撤去してから言つて欲しいものだ。
ともあれ、国を護れなければ、賃上げも福祉も教育も、如何なる政策も砂上の楼閣だ。国防は票にならぬとて警鐘を鳴らさない政治家と、侵略されることは無いといふ「確証バイアス」に引つ張られた国民に果たして未来はあるだらうか。
参政党と日本保守党だけは国防意識が高いやうだ。今後の飛躍のためにも内紛もどきは早く克服して欲しいものである。(令和六年十一月号)














