九月二十七日、石破茂が第二十八代自民党総裁に選出された。決選投票となれば、高市早苗が有利であるといふのが大方の保守系言論人の見立てであり、第一回目の投票では高市が最高得票だつたので、小欄も高市総裁の誕生を確信したのだが、糠喜びに終はつた。
しかし、考へてみれば、総裁選に九人も立候補しながら、大半がリベラルな政策を提言してゐて、立民党の代表選挙かと見紛ふほどであつた。自民党は既に保守政党ではない。これまでにも河野洋平、福田康夫など何故自民党に在籍してゐるのか不明な輩が総裁の席に座してゐたわけで、さらには野中広務、加藤紘一、二階俊博といつた連中がかつて幹事長を務めたくらゐなので、今さら驚くにはあたらないのかも知れない。
それゆゑであらう、自民党内部での「高市潰し」は酷く、投票翌日の「産経」には「リーフレット問題で包囲網」の見出しがあつた。
「文書類を郵送等で送付」を禁じた内規が九月三日に決められたことにより、八月中に郵送を終へてゐた高市の国政報告書が糾弾されたのである。法令ではないが、党内規則にも不遡及の原則といふものがあらう。それに、九月九日付で石破もチラシを送付してゐたし、茂木も河野も同様だ。自称「愛国者」小泉進次郎に至つては金を無心するファックスを支持者に送り付けてゐたことが判明したのだが、彼らは不問に付され、メディアもほとんど追及しなかつた。
しかし、党内の「包囲網」にも係はらず、第一回投票で一位、決選投票で接戦といふのは大善戦と言つて良い。勉強家の高市と彼女に投票した百七十人を超える議員たちには期待したいと思ふ。
それにしても石破茂である。この御仁ほど一般国民の人気と保守系言論人の評価が乖離してゐる例は少ない。小泉進次郎と双璧である。どういふ理由かは分からないが、この二人についてマスメディアが親しみやすい切れ者といふ虚像をふんだんに作り上げたゆゑの人気であらう。石破も「ねばならなぬ論法」で偉さうに話す割には実績は乏しく、小泉なんぞ議員立法案を一本も提出したことが無いさうだ。小欄はオルテガの言ふ「甘やかされた子供たち」といふ言葉を思ひ浮かべた(『大衆の反逆』)。
ともあれ、石破は夫婦別姓推進だの女系天皇容認だのと主張して憚らない。また、平壌と東京に連絡所を設けるとも言ふ。拉致問題に全く関心を示して来なかつたくせに、選挙戦終盤になつて俄かにブルーリボンバッジを着けた。正体見たり、である。
本欄では岸田政権批判を繰り返して来たが、石破政権についても同じことになるに違ひ無い。嗚呼!(令和六年十月号)














