コロナ禍がなかなか終息しない中、政府は科学的根拠抜きに只管「自粛」を要請してゐる。だから、政府に対して国民の不信感が募るのも已むを得ない。が、さうかうするうちに、政府与党はコロナ対策より一層無惨な「信念無き妥協」による政策運営を行つてゐる。コロナはいつかは終息するであらうが、こちらはコロナ後の我が国を静かに蝕んでゆくのに違ひない。
一つは、「入管難民法改正案」の廃案である。今回の改正案で少しは良くなるだらうと期待してゐたら、外国人の収容や送還の規則を見直すはずが野党の反対に会ひ、今国会での成立が見送られたのである。「産経」(五月十九日)によれば、不法滞在外国人で懲役三年以上の刑法犯が昨年末で約三百十人をり、そのうち約百五十人が難民認定の申請中で、申請中は本国への強制送還ができない。他にも懲役五年以上の約百八十人中約九十人、懲役七年以上(つまり重罪犯)の約九十人中約五十人が同様の申請をし、しかも申請回数には上限がないので申請を繰り返してゐる例も多い。
こんなバカげた法を改正せずに、自民党の二階俊博は立民党の福山哲郎に「改正案の採決は行わないと伝達」し、事実上の廃案となつた。都議選や衆院選が近いからといふことだが、理解に苦しむ。
もう一つは、外資による土地取引の規制についての法案である。これが閣議決定を経て国会での審議に進むと思はれたが、過剰な「私権制限」だとて「土地売買の事前届出制」から市街地を外すなど、自民党は公明党の要求に屈し、実務者会議の段階で早くも骨抜きにされたのだ。自民党は党内親中派を退治し、公明党に三行半を突きつけねば、党の未来はないと知るべきだ。
元「朝日」記者で軍事評論家の田岡俊次は、外国人が日本の土地を買つても、「日本の主権下の領土であることは変わらない」と能天気なことを書いてゐる(News Socra 四月二十二日)。「事後届出」を義務付けた国土法二十三条はザル法であるし、この問題に詳しい平野秀樹によれば「日本の土地売買規制がすこぶる甘く、(略)将来、ガバナンス能力を喪ってしまう懸念が大きい」のだ。なぜなら「国土の半分(大都市圏は八割)が地籍調査未了で、所有者不明の土地を何百万ヘクタールも擁するような国は日本の他にはない」からだ(JB press三月十八日)。他方、立民党の安住淳のやうに「安全保障のための私権制限には反対」とする愚昧な政治家もゐる。
我々は教訓としてギリシャ神話の「トロイアの木馬」や新疆ウイグル地区を想起するべきだ。トロイアは結局どうなつたか。勿論その後滅亡し、ウイグルは周知の如くである。明日は我が身だ。(令和三年六月号)














