先般の衆院選で「立民・共産合作」は幸ひなことに失敗した。だが、「立憲、共闘に一定の効果」と投票日翌日の「朝日」は書いた(最終版では修正したらしいが)。「あはれ」の情をもよほすのは筆者だけではあるまい。
ところで、投票日の 「産経」は「コロナ・経済再生託す」といふ大見出しを掲げた。現今の国民心理の指摘としては間違つてゐないが、衆議員を選ぶ選挙の一番の政治課題がこのやうな内政が中心であるとしたら、極めて問題であらう。
ここで筆者が言ひたいのは、安全保障を顧みない政治があり得るのかといふことだ。選挙戦の最中に北朝鮮が潜水艦から弾道ミサイル(SLBM)を発射した。韓国と共に在日米軍が標的と観測されてゐる。さらには、低くて変則的な軌道を描く新型SLBMも開発中と聞く。これが完成すると、政府が新造するイージスシステム搭載艦などでの迎撃が困難らしい。また、近々、台湾有事も予想されてゐるこのやうな時期に、安全保障問題を候補者たちはどのくらゐ語つたのか。
選挙にポピュリズムは付き物だから、コロナ対策に最初に触れるのはまあ理解できる。しかし、その次に問題とするべきは国防問題であらう。コロナ対策も経済政策も福祉も教育も総て主権を守り抜いてこそのものだ。
立民は公約に、「専守防衛に徹しつつ」云々と寝惚けたことを書いてゐる。いつの時代の話をしてゐるのか。「専守防衛」で守れれば苦労は無い。核ミサイルが発射されれば万事休すだ。「敵地先制攻撃」が論じられる所以である。共産や社民に至つては国防意識が全くと言つて良いほど無い。中共や北朝鮮が侵略して来ても、同じ政治路線の自分たちは助けて貰へると思つてゐるかのやうだ。
さすがに自民、維新、国民は安全保障に触れて具体策も提案してゐるが、曲がりなりにも改憲を論じてゐるのは自民と維新だけだ。
ともあれ、絶対安定多数を占めた自民は面目を施したのだが、立民候補に辛勝だつた小選挙区も多い。それに昨今、自民党員の「左傾化」は目に余るほどだから、磐石の体制とは言ひ難い。筆者の知る限りでも中共の「毒饅頭」に手を付けたと思しき候補たちが当選してゐる。一方、驚いたことに、三百代言を代表としてゐた立民も百近い議席を獲得した。立民候補の応援に当地に来た蓮舫などは「グータッチ」攻めでアイドルさながらだつた。別の日にテレビを見れば、渋谷でハロウィンの仮装をした若者たちが映し出されてゐた。
選良は下々の民度の表れなのだから、「同坑異土無し」といふことなのか。とは言へ、「いや、それは違ふ!」と獅子吼するやうな政治家の出現をやはり期待したいものだ。(令和三年十一月号)














